2001

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草案<全文>

日本公進党

Nippon Kōshintō

「日本公進党改定日本国憲法草案」1
2000年5月7日作成/2001年2月11日一部修正


  
日本国民は、現在及び未来の全ての日本国民に、我らの祖先が、二千数百余年の長い歴史の中で築き上てきた、国家の在り方と、その伝統、精神、文化と日本国が等しく日本国民にもたらす自由の恵沢が未来永劫に継承されるよう確保し、日本国の主権が、その国民に存することを宣言し、ここにこの憲法を制定する。

日本国は半世紀余前の大戦により、国民は多大な惨禍を受けたと共に、又世界の諸国民に甚大なる惨禍を与えた。これは日本国の描いた真意に反するものであったと共に、堪えがたい遺憾をおぼえるものであることは言うまでもなく、再び全世界の国民との共生、共栄を打ち立て、平和を愛する諸国民と共に、新たな一歩を踏み出すことを決意した。そして我らの先人は、その多大なる努力と英知と、諸国民の寛大なる評価と受容によって、再び世界の舞台へと輝かしい復帰を果たしたのである。しかし日本国民は、この世界の舞台での栄光を再び勝ち取るためのみに専念し、自らの独立国家の権威と日本国と日本国民の誇りを失墜させて来たという事実を、この半世紀余の間、感知することなく、または故意に忘却してきた。しかし、我々国民は、この過ちをここに改め、日本国と全ての日本国民の夢と希望、名誉と誇り、かかる栄光を取り戻し、半世紀余前とは意義の異なった、新たな日本の再編と秩序創生を目指すと共に、また全ての人類が、共生と共栄の下に、永久なる平和と繁栄を達成できることを願い、ここに憲法の改定を着手したのである。これは過去及び将来の国民から、我々に信託されたものであると信じ、ゆえに責任を持って、実行されたものであることは、誇りを持って、ここに宣言されるものである。

そもそも国政のその権威は、国民に由来し、国民の厳正な信託によって行使されるのであって、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は全ての国民が等しくこれを享受する。

日本国民は、世界の恒久の平和を念願し、我らは、その平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努力するのであって、全世界の国民が、等しく紛争とその惨禍、それらによる恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認し、日本国はこれら崇高な理想に積極的に貢献し、国際社会において、名誉ある地位を築きたいと思うのである。

以って、この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年に渡る自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことの出来ない永久の権利として信託されたものである。そしてこれらの原則に基づき、この憲法を自ら手に入れたのである。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

前文案も一部変更、追加した。


第1章 天皇

第1条〔天皇の地位〕
天皇は、日本国及び日本国民統合の象徴であり、日本国及び日本国民を代表する元首であって、この地位は、日本国民の総意に基づき、何人もこの地位と名誉及び尊厳を侵してはならない。

天皇の地位に日本国と国民を代表する元首であることを追加。現在の対外的実情と現実性を明文化したのみで、何ら政治的権能を有するわけではなく、統治性のある元首を示すものでは全くない。また「何人もこの地位と名誉及び尊厳を侵してはならない」を加え、日本国と日本国民の象徴である天皇の象徴が故の名誉と尊厳を保障しまた確保することを明文化した。

現行第1条では「〔天皇の地位と主権在民〕」とされているが、主権在民(国民主権)については、第2章に国民主権の章を新に設けて、明文化する。


第2条〔皇位の世襲と継承〕
皇位は世襲であって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

第3条〔天皇の国事行為と内閣の責任〕
天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の輔佐と輔弼を必要とし、内閣が、その責任を負う。

天皇の国事行為に対し、現行第3条の「内閣の助言と承認」から、旧来の「輔佐と輔弼」に変更。これは「助言と承認」より「輔佐と輔弼」の方が、天皇の国事行為に対して的確な表現であると判断したところによる。

第4条〔天皇の権能の限界、国事行為の委任〕
天皇は、この憲法の定める象徴と元首としての行為を行ない、国政の執行に関する直接の権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

天皇の国事行為が、日本国と日本国民の象徴と「元首」としての行為であるとして、「元首」の文言を追加。

第5条〔摂政〕
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその行為を行なう。この場合には、前条第1項の規定を準用する。

第6条〔天皇の任命権〕
天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第7条〔天皇の行為及び権能〕
天皇は、内閣の輔佐と輔弼により、国民の為に、次ぎの行為を行なう。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集し、その詔勅を発すること。
三 衆議院を解散し、その詔勅を発すること。
四 内閣の解散を認証し、その詔勅を発すること。
五 国会議員の選挙の施行を公示すること。
六 国務大臣及びその他官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
八 栄典を授与すること。
九 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
十 外国の大使及び公使を接受すること。
十一 儀式を行ない、行事及び式典に出席すること。
十二 国会で議決した、大規模の災害及び有事並びに非常事態宣言に際して、国民の安全と公共の秩序を維持し災禍を避ける為の必要な法律の緊急措置を認証し、これを公布すること。
十三 自衛軍の出動を認証すること。
十四 内閣総理大臣が発する、非常事態宣言を認証し、これを公布すること。
十五 内閣が指名する自衛軍統合幕僚会議議長、陸上、海上及び航空自衛軍各幕僚長及び防衛庁長官が指名した陸将、海将及び空将、陸将補、海将補及び空将補の任免を認証すること。
十六 陸上自衛軍連隊旗及び海上自衛軍自衛艦旗を授与し、法律の定めるところにより海外支援及び協力に派遣される自衛軍部隊に旗を授与すること。
十七 皇室の祭祀を行なうこと。
十八 内閣の決定した元号の改正を認証し、これを公布すること。

天皇の行為を大幅に追加。現行第7条第五号にもあった「国会議員の総選挙」の「総」を削除し、衆参両院の選挙公示と分かるように明示。第十一号で各種行事や式典への参加、第十七号によって皇室祭祀を明文化することによって、神道形式での祭祀や戦没者慰霊並びに靖国参拝などへの弊害を排除。第十二号で新にこの憲法で規定される法律の緊急措置の認証及び公布、第十四号で非常事態宣言の認証及び公布を規定、第十三号に自衛軍出動の認証、第十五号の自衛軍将官の任免の認証、第十六号の自衛隊旗等の天皇親授を規定して自衛軍の地位向上、任務の崇高性の向上と士気向上を図る。また元号改正の認証と公布も第十八号として追加。


第2章 国民主権

第8条〔国民主権〕
日本国の主権は、全て国民に存する。

第9条〔主権の行使〕
国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じ、また法律の定めるところによる国民投票により、その主権を行使する。

新に国民主権いついて規定する章を設けた。第9条では、主権行使の方法に国民投票を加え、国民の直接主権行使手段としての国民投票を規定した。


第3章 防衛

第10条〔侵略戦争の放棄と自衛軍の保持〕
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる侵略戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際間の政治紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 日本国は、日本の平和と独立及びその国土と国民の生命と財産を守り、安全を維持し、また保障し、直接侵略及び間接侵略から我が国を防衛し、必要に応じ公共の秩序を維持する為に、自衛軍を創設し、これを保持する。

第1項で現行9条と同じように侵略戦争の放棄を規定。第2項によって日本の自衛権の明確化と自衛軍(現防衛庁を省に格上げすると共に自衛隊を軍隊として認定する)の保持を規定。

第11条〔自衛軍の最高指揮監督権〕
自衛軍の最高指揮監督権は、内閣を代表して、法律の定める文民である内閣総理大臣がこれを有す。

現自衛隊法の規定と同じく、自衛軍の最高指揮監督権は内閣総理大臣が有することを規定。

第12条〔自衛軍の出動〕
内閣総理大臣は、直接侵略及び間接侵略又は直接侵略及び間接侵略の恐れがある場合に際して、我が国を防衛する為に必要と認める場合には、法律の定める場合を除き、国会の承認(衆議院が解散されているときは、緊急集会による参議院の承認)と、天皇の認証を得て、自衛軍の全部又は一部の出動を命ずることができる。
2 その他法律の定めるところにより、必要と認める場合には、内閣総理大臣は、自衛軍の全部又は一部の出動を、防衛大臣は自衛軍の全部又は一部の出動待機を命ずることができる。
3 出動の要請については法律に定める。

現自衛隊法の規定と同じく、自衛軍の出動に関する規定を設ける。

第13条〔防衛秘密の保護〕
何人も、日本の平和と独立及びその国土と国民の生命と財産を守り、安全を維持し、また保障し並びに公共の秩序を維持することに協力し、その漏洩が国及び友好国の安全又は利益に重大な損害を与え、または与える恐れがあると法律及び政令などの定める、知識又は文書、図形若しくは物件等の防衛秘密を探知し、収集し又は破壊してはならない。
2 また前項の防衛秘密を保持し、保管する、政府及び関係官庁及びその職員等は、これらが漏洩しないように、必要な保護をする義務を負う。

防衛秘密の保護を規定し国民に防諜を促すと共に、外国による間諜(スパイ)を禁止し、また防衛秘密に関与する公務員への秘密保護義務を規定する。

第14条〔自衛軍隊員等の徴集及び国防の義務〕
自衛軍の構成員たる隊員等の、国民からの徴集は、民主主義国家における、国民の義務と認める。ただし隊員等の徴集制度は法律により制限又は実施しないことができる。

国防の義務を定めると共に、その実施について法律で制限又は実施しないことができるように規定。日本公進党は平時における自衛官の徴集は必要ないと考えるので、実施しない旨の法律を規定する。

第15条〔国際活動への参加〕
日本国は、その加盟又は条約を締結する、確立された国際的機構の活動に必要な場合には、公務員を派遣し、国際的な平和の維持及び促進並びに人道的支援の活動に、国会の議決により、自衛軍の一部を提供し、派遣することが出来る。

PKO、PKF、国際緊急援助隊などへの公務員(文民警察官など)や自衛軍部隊の海外派遣を明文化。


第4章 国民の権利及び義務

第16条〔国民たる要件〕
日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第17条〔基本的人権〕
国民は、全ての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことの出来ない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。

第18条〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、常に相互の自由及び権利を尊重する義務を負うと共に、常に国の安全と公共の秩序を維持し、これを濫用してはならず、その行使に責任を持ち、かつ公共の福祉の為に利用する責任を負う。

権利の濫用禁止規定に、国の安全と公共の秩序の維持を加えることによって、有事や非常事態時を含めた公共の福祉性への合致に対して強化を与えた。

第19条〔個人の尊重〕
全て国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追及に対する国民の権利については、公共の福祉、国の安全と公共の秩序の維持に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。

国の安全と公共の秩序の維持を加えることによって、公共の福祉性への合致に対して強化を与えた。

第20条〔平等原則、貴族制度の否認、栄典の限界〕
全て国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、財産、社会的身分及び門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄典、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第21条〔思想及び良心の自由〕
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第22条〔信教の自由及び宗教団体への政治特権の禁止〕
信教の自由は、何人に対しても、これを保障する。
2 いかなる宗教団体も、国やその他行政機関から利益若しくは特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

第23条〔集会、結社の自由〕
集会、結社の自由は、これを保障する。ただし国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合、法律が定める範囲内において、集会の自由を制限若しくは停止することが出来る。

国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合における、権利の制限及び停止を規定し、有事等での対処を可能にした。これは有事等に際し、自由な集会の開催による有事対処への妨害や危険を防止するためである。

第24条〔表現の自由〕
言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。ただし国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合、法律が定める範囲内において、言論、出版その他表現の自由を制限若しくは停止することが出来る。
2 何時においても、検閲は、これをしてはならない。

国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合における、権利の制限及び停止を規定し、有事等での対処を可能にした。これは誘拐などの犯罪行為での報道規制や、有事等に際しての報道等による、わが国に不利な防衛情報や作戦情報、秘密情報の漏洩を防止し、有事対処への妨害を防ぐための適切な報道規制であって、これらに関係しない情報の報道は自由であるのは当然であり、第2項の通り検閲も禁止される。

第25条〔通信の秘密〕
通信の秘密は、これを侵してはならない。ただし国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合、法律が定める範囲内において、制限若しくは停止することが出来る。

国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合における、権利の制限及び停止を規定し、有事等での対処を可能にした。これは犯罪対処での通信傍受の例外と、国防及び有事行動に関しての通信傍受の例外等を可能とするための規定である。

第26条〔居住及び移転、国籍離脱の自由〕
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転の自由を有する。ただし国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合、法律が定める範囲内において、居住、移転の自由を制限若しくは停止することが出来る。
2 前項ただし書により、居住、移転の自由を制限若しくは停止する場合、国はその居住、移転の自由を制限若しくは停止することにより、国民が損害を得る場合、それに対し適当な補償を施さなければならない。
3 全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合における、権利の制限及び停止を規定し、有事等での対処を可能にした。これは有事等に際しての強制退去命令、用地収容等を可能とするための規定である。これによる損害への補償を規定し、国民に損害のないようにする。また現行憲法で「職業選択の自由」が現行第22条に規定されていたが、現在において居住に関する権利とは関係が深いとはいえないため、後に別条として独立して規定する。

第27条〔学問の自由〕
学問の自由は、これを保障する。

第28条〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とて、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関して、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第29条〔生存権、国が民生の進歩と向上に努める義務〕
全て国民は、健康的で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に務めなければならない。

現行第25条に「〔生存権、国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕」とあるのを「〔生存権、国が民生の進歩と向上に努める義務〕」に簡素化して変更。その条項の内容は変えていない。

第30条〔良好な環境を享受する権利及び責任〕
全て国民は、良好な環境を享受する権利を有する。また相互の良好な環境を享受する権利を尊重し、環境の保全に務める責任を負う。
2 国は、国民の良好な環境を享受する権利を保障し、良好な環境の保全に努めなければならない。

新たな権利として注目されて久しい、「環境権」について追加。良好な環境を享受する権利のほかに、相互の環境権を尊重する目的で環境保全への各自の責任を明示。また国が国民の環境権を保障するために環境保全に努める義務を規定。

第31条〔私事の秘密及び干渉されない権利〕
何人も、公共の福祉に反しない限り、個人の私生活やあらゆる情報、家庭内の私事を、他の個人や社会に知られず、干渉を受けない権利を有する。

新たな権利として注目されて久しい、「プライバシーの権利」について追加。

第32条〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕
全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
2 全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とし、かつ国は国民の教育を受ける権利を保障する為、教育を受ける為に必要な経済的補助を保障しなければならない。

国民の教育を受ける権利を保障する目的で、教育を受ける為に必要な経済的補助を保障することを追加。これは教育の機会均等を図るため、公金による奨学金や無償学費援助、私学助成を可能とする目的による。

第33条〔勤労の権利及び義務〕
全て国民は、勤労の権利を有し、又義務を負う。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。

第34条〔職業選択の自由〕
全て国民は、職業を選択する自由を有する。

現行第22条で「居住及び移転、国籍離脱の自由」と同条に規定されていたが、別条として独立して規定した。

第35条〔勤労者の団結権及び団体行動権〕
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

第36条〔財産権〕
財産権は、これを侵してはならない。ただし国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合、法律が定める範囲内で、財産権を制限若しくは停止することが出来る。
2 前項により財産権を制限若しくは停止することにより、国民が損害を得る場合、国はそれに対し適当な補償を施さなければならない。
3 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律で定める。
4 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共の為に用いることが出来る。

国の安全と公共の秩序の維持と、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止むを得ない場合における、権利の制限及び停止を規定し、有事等での対処を可能にした。これは有事等に際しての強制退去命令、用地収容等を可能とするための規定である。これによる損害への補償を規定し、国民に損害のないようにする。また有事等に際しての国内財産の国外流出を防止する目的での財産移動の制限や停止なども考えられる。

第37条〔納税の義務〕
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

第38条〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕
何人も、法律の定める手続きによらなければ、生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

第39条〔裁判を受ける権利〕
何人も、裁判所において公平な裁判を受ける権利を有する。

第40条〔逮捕の制約〕
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する裁判官が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状に拠らなければ、逮捕されない。

現行第33条で逮捕状の発行権限を有する者を「司法官権」とされていたところを、分かりやすく「裁判官」に変更。

第41条〔抑留及び拘禁の制約〕
何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護士に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第42条〔住居への侵入、捜索及び押収の制約〕
何人も、その居住、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第40条の場合を除いては、正当な理由に基づいて権限を有する裁判官が発する、かつ捜索する場所及び押収するものを明示する、令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する裁判官が発する各別の令状により、これを行なう。

現行第35条で捜査差押許可状(通称捜査令状)の発行権限を有するの者を「司法官権」とされていたところを、分かりやすく「裁判官」に変更。

第43条〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

第44条〔奴隷的拘束および苦役の禁止〕
何人も、いかなる奴隷的拘束を受けない。又、犯罪による処罰の場合を除いて、その意に反する苦役に服させられない。

第45条〔刑事被告人の権利〕
全て刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、全ての証人に対して審問する機会を充分に与えられ、又、公費で自己の為に強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することが出来ないときは、国でこれを附する。

第46条〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることが出来ない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第47条〔遡及処罰、二重処罰の禁止〕
何人も、実行の時に適法であった行為又はすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。

第48条〔刑事補償を求める権利〕
何人も、抑留若しくは拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることが出来る。

第49条〔犯罪被害者の権利〕
生命を害し又は心身を損する犯罪行為による被害者又はその遺族は、法律の定めるところにより、国による適当な補償を受けることができる。
2 生命を害し又は心身を損する犯罪行為による被害者又はその遺族は、法律の定めるところにより、当該事件の処理と結果及び裁判の審理過程について、当該機関から充分な説明を受け、裁判に際し意見を述べることが出来る。

新たな権利として注目されて久しい、「犯罪被害者の権利」について追加。国の補償を受け、警察、検察の事件処理と結果及び裁判過程の説明を受ける権利や、裁判での意見陳述権を規定。

第50条〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙及び投票秘密の保障〕
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 全て国民は、その能力に応じて、公務員となる資格を有する。
3 全て公務員は、公衆の奉仕者であって、一部の奉仕者ではなく、国民の為に、忠順にその職務に服する。
4 公務員の選挙については、18歳以上の国民による普通選挙を保障する。
5 全て選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。

第2項に、国民がその能力に応じた公務員になる資格を有するとの規定を追加。これにより国民への公務員資格の能力に応じた機会均等を保障したと共に、国民と規定することにより公務員資格の国籍条項の正当性を明確にした。第3項に、「国民の為に、忠順にその職務に服する」との条文を追加。第4項に「18歳選挙権」を規定。法律による成年規定の18歳化は実施せず、成年はあくまでも20歳のままとし、その他20歳成年条項のある法律で20歳以下に権利・義務を拡大する場合は、その条項を成年から何歳以上などに変更する。

また現行第15条でも同様である通り、公務員の選定つまり議員等の選挙は、国民固有の権利であり、永住外国人等の外国籍人への選挙権付与は違憲であることは現行憲法でも言うまでもない。日本公進党はこの改定草案でもこの原則を尊重したと共に、第2項は原則に基づく解釈により条項を追加した。


第51条〔請願権〕
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、懸かる請願をした為にいかなる差別待遇も受けない。

第52条〔公務員の不法行為による損害賠償〕
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることが出来る。

第53条〔行政情報の開示請求権〕
全て国民は、日本の平和と独立及び安全の維持並びに公共の福祉に反しない限り、法律の定めるところにより、国及び地方自治体及び特別地方公共団体に対して、その事務に関わる情報について、開示を求めることが出来る。

新たな権利として注目されて久しい、「行政情報の開示請求権(知る権利・情報公開の権利)」について追加。ただしこの権利にも、日本の平和と独立及び安全の維持並びに公共の福祉に反しない限りとして、防衛秘密や司法・警察機関の捜査秘密その他法律の定める秘密情報等の必要な保護を可能にした。


第5章 国会

第54条〔国会の地位〕
国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。

第55条〔二院制〕
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第56条〔両議院の組織〕
両議院は、全国民を代表する正当に選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第57条〔議員及び選挙人の資格〕
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別されない。

第58条〔衆議院議員の任期〕
衆議院議員の任期は、四年とする。ただし、衆議院解散の場合には、その任期の満了前に終了する。

第59条〔参議院議員の任期〕
衆議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

第60条〔議員の選挙〕
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第61条〔両議院議員相互兼職の禁止〕
何人も、同時に両議院の議員たることは出来ない。

第62条〔政党〕
議員及び国民は、国民の政治的意思形成と主義主張や政策を一にする国民が、国会においてその政策を実現するために資する為、自由に政党を結成することが出来る。政党は法律の定める行為を国会において、行使することができる。
2 国会における政党は、法律の定める要件を満たす政治団体の通称とする。

政党に関する条項を新に追加。
第63条〔議員の歳費〕
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第64条〔議員の不逮捕特権〕
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第65条〔議員の発言表決の無答責〕
両議院の議員は、議院で行なった演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。

第66条〔常会〕
国会の常会は、毎年一回これを召集する。

第67条〔臨時会〕
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することが出来る。何れかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

第68条〔総選挙、特別会、緊急集会〕
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ない、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。ただし、内閣は、国に緊急の必要がある時は、参議院の緊急集会を求めることが出来る。
3 前項ただし書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。

第69条〔資格争訟〕
両議院は、各々その議員の資格に関する訴訟を裁判する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員数の三分の二以上の多数決による議決を必要とする。

第70条〔議事の定足数と過半数議決〕
両議院は、各々その総議院の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き、議決することが出来ない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、出席議員数の過半数でこれを決し、可否同数の時は、議長の決するところによる。

第71条〔会議の公開と会議録〕
両議院の会議は、公開とする。ただし、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことが出来る。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
3 出席議院の五分の一以上の要求があれば、各議院の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第72条〔役員の選任、議員の自律権〕
両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序を乱した議員を懲罰することが出来る。ただし、議院を除名するには、出席議員の五分の三以上の多数による議決を必要とする。

現行第58条では議員の除名を各議院の出席議員の三分の二以上(現定員で衆院480名全員出席で320名、参院252名全員出席で168名)の多数による議決となっているものを出席議員の五分の三以上(現定員で衆院480名全員出席で288名、参院252名全員出席で152名)に変更。これにより不正議員への懲罰をより容易且つ実効的なものとできる。

第73条〔法律の成立、衆議院の優越〕
法律案は、この憲法に特別の定めのある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の五分の三以上で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものと見なすことが出来る。

衆議院と参議院が異なる決議をした場合の衆議院の優越権に関して、現行では衆議院の出席議員の三分の二以上(現定員480名全員出席で320名)での再可決となっているものを出席議員の5分の3以上(現定員480名全員出席で288名)に変更。これにより法律の速やかな成立を促進を図る。

第74条〔衆議院の予算先議権、予算の議決〕
予算案は、先に衆議院に提出しなければならない。
2 予算案について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とすることが出来る。

現行第60条では、「予算は、先に…」とあったところを適切な「予算案」と「案」を追加した。

第75条〔条約締結の承認〕
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。

第76条〔議員の国政調査権〕
両議院は、各々国政に関する調査を行ない、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することが出来る。

第77条〔国務大臣の出席〕
内閣総理大臣その他国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとに関わらず、何時でも議案について発言する為議院に出席することができる。又、答弁又は説明の為出席を求められたときは、出席しなければならない。

第78条〔弾劾裁判所〕
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判する為、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 前項の訴追の為に、両議院の議員で組織する訴追委員会を設ける。
3 弾劾及び訴追に関する事項は、法律でこれを定める。


第6章 内閣

第79条〔行政権〕
行政権は、内閣に属する。

第80条〔内閣の組織と責任〕
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織する。
2 内閣総理大臣は、内閣及び国務大臣を総理する。
3 内閣総理大臣その他の国務大臣は、法律の定める文民でなければならない。
4 内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負う。

第3項の首相と国務大臣の文民規定を法律の定める文民として、法律でその文民要件を規定することを明示。

第81条〔内閣総理大臣の指名〕
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他の全ての案件に先だって、これを行なう。
2 衆議院と参議院とが異なった指名をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第82条〔国務大臣の任免〕
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。ただし、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することが出来る。

第83条〔不信任決議と解散又は総辞職〕
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院を解散させることが出来る。
2 内閣は、前項の規定によって、衆議院を解散しない限り、総辞職をしなければならない。

第84条〔内閣総理大臣の欠缺(けんけつ)又は総選挙施行による総辞職〕
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職しなければならない。

第85条〔内閣総理大臣の臨時代理〕
内閣総理大臣に事故があるとき、又は内閣総理大臣が欠けて、次の内閣総理大臣が任命されるまでの間は、臨時代理たる国務大臣が内閣総理大臣の職務を代行する。
2 内閣総理大臣の臨時代理たる国務大臣は、内閣総理大臣があらかじめ指名した国務大臣とする。
3 内閣総理大臣の臨時代理たる国務大臣は、内閣総理大臣が外国等の遠方に渡航及び所在する等によって、その必要な職務を直接行うことが困難又は不可能な場合は、必要に応じて、内閣総理大臣の決定するところによって、その職務の全部若しくは一部を代行することができる。

内閣総理大臣の臨時代理についての条項を新に追加。過去におきた密室での首相代行選考、継承といわれた事態を防止すると共に、第3項に首相の外国訪問中等の代行についても規定して、内閣の危機管理を保持する。

第86条〔総辞職後の職務続行〕
前二条の場合には、内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行なう。ただし、衆議院の解散権は、行使できない。

第87条〔内閣総理大臣の職務権限〕
内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

第88条〔内閣の職務権限〕
内閣は、他の一般行政事務のほか、次ぎの事務を行なう。
第1号 法律を誠実に執行し、国務を総理する。
第2号 外交関係を処理すること。
第3号 条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
第4号 法律の定める基準に従がい、公務員に関する事務を掌理すること。
第5号 予算案を作成して国会に提出すること。
第6号 この憲法及び法律の規定を実施する為に、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることが出来ない。
第7号 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

現行第4号にあった「官吏」を分かりやすく「公務員」に変更。

第89条〔法律及び政令への署名と連署〕
法律及び政令には、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

第90条〔国務大臣訴追の制約〕
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これが為、訴追の権利は、害されない。

第91条〔非常事態の宣言〕
内閣総理大臣は、直接侵略及び間接侵略又は直接侵略及び間接侵略の恐れがある場合、大規模の騒乱及び災害に際し、国民の生命、身体若しくは財産が侵害され、又は侵害される恐れがある場合並びに公共の秩序を維持するために必要と認める場合には、国民に非常事態を宣言することが出来る。
2  内閣総理大臣は、国の機関、地方自治体、その他行政機関に、非常事態宣言において必要と認められる指示及び命令を発する事が出来る。
3 非常事態の宣言に際し、公共の秩序を維持するために特に必要と認める場合には、自衛軍の全部又は一部を全国又は指定する地域に治安出動させ、法律の定める警備及び活動をさせることができる。
4 非常事態宣言により出動した自衛軍は、内閣総理大臣の指揮監督の下、非常事態司令部を置き、法律の定めるところにより全国又は指定する地域における全ての警察及び消防業務を統括する。

新に「非常事態の宣言」を導入・追加し、内閣総理大臣に、非常事態を宣言する権限を付与。非常事態に際して内閣総理大臣は、官公庁、地方自治体等に対する指示・命令権を与え、非常事態宣言での自衛軍出動と、自衛軍の治安出動等に根拠を憲法に明文化。また出動した自衛軍を指揮する非常事態司令部の設置、警察及び消防の統括権を規定。

第92条〔非常事態宣言の国会承認〕
前条第3項に基づき、非常事態を宣言し、自衛軍の全部又は一部を全国又は指定する地域に出動させた場合には、内閣総理大臣は、二十日以内に国会の承認を求めなければならない。
2 前項の出動の承認に際し、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した後、出動から20日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とすることが出来る。
3 衆議院が解散されているときは、緊急集会による参議院の議決を国会の正式な議決とする。
4 内閣総理大臣は、出動の承認に際し、国会において不承認の議決があったとき、又は出動の必要がなくなったとき、非常事態宣言の必要がなくなったときは、速やかに非常事態宣言を解除し、直ちに、自衛軍の撤収を命じなければならない。

新に導入・追加した「非常事態の宣言」の国会承認、宣言の解除、自衛軍の撤退について規定。

第93条〔非常事態における法律の緊急措置案の発議〕
内閣総理大臣は、大規模の災害及び有事並びに非常事態宣言に際して、現在定めれられている法律では有効でない場合、若しくは対処できない場合、国民の安全と公共の秩序を維持し、災禍を避ける為に必要と認められる、この憲法の範囲内において、臨時かつ暫定的な法律及び命令等の制定の緊急措置案を、国会へ発議することができる。

新に「非常事態における法律の緊急措置案の発議」を導入・追加し、内閣総理大臣に、有事や非常事態に際して、現行の法律が有効でなくもしくは対処不能の場合において、臨時・暫定の法律及び命令の制定の緊急措置を国会に発議する権限を与えるように規定。

第94条〔非常事態における法律の緊急措置案の国会承認〕
国会は、前条に基づき、内閣総理大臣が発議した非常事態における法律の緊急措置案を、内閣総理大臣の指名の場合を除き、他の全ての案件に先だって議決しなければならない。
2 前項の法律の緊急措置案の議決に際し、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した後7日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とすることが出来る。
3 衆議院が解散されているときは、緊急集会による参議院の議決を国会の正式な議決とする。
4 内閣総理大臣は、国会において承認された、法律の緊急措置を直ちに国民に施行し、その法律の緊急措置が必要でなくなったときは、速やかにその法律の緊急措置を失効させなければならない。

新に導入・追加した「非常事態における法律の緊急措置案の発議」の国会承認、施行、緊急措置の失効について規定。緊急措置案の速やかな成立を図るため、参議院の議決遅延による衆議院の優越発生期間を7日以内とした。

第95条〔権利の緊急制限〕
内閣総理大臣は、非常事態の宣言を発した場合には、国民の生命、身体若しくは財産を守る為に止む負えない場合、法律が定める範囲内で、この憲法の定める身体、通信、集会、言論、居住及び移転の自由並びに財産権を制限若しくは停止することが出来る。
2 内閣総理大臣は、前項の措置を行なう場合、この憲法が保障する、国民の基本的人権を尊重するようにしなければならない。
3 内閣総理大臣は、第1項の措置が必要でなくなったとき、国会の議決により必要でないとされたときは、速やかにその措置を失効させなければならない。

「非常事態の宣言」に際して必要な「権利の緊急制限」を規定。第4章「国民の権利及び義務」の各条項にある権利の制限・停止の発動権、失効を明文化。あらかじめ非常事態宣言に際する権利の緊急制限を規定する法律を制定し、この法律に基づいて内閣総理大臣が権利の制限・停止を発動する。


第7章 司法

第96条〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
全て司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 法律の定める防衛秘密に関わる裁判及び自衛軍に関する法律が定める裁判は、法律の定めるところにより設置する専属の防衛裁判所に属する。防衛裁判所の地位は下級裁判所の一部とし、終審裁判権は最高裁判所に属する。
3 防衛裁判所及び終審として最高裁判所が行う、法律の定める防衛秘密に関わる裁判及び自衛軍に関する法律が定める裁判を行う裁判官、検察官、弁護人その他の職員等は、法律の定めるところにより、全て専属のものでなければならない。
4 特別裁判所は、これを設置することが出来ない。行政機関は、終審として裁判を行なう事が出来ない。
5 全て裁判官は、その良心に従がい独立してその職権を行ない、この憲法及び法律にのみ拘束される。

新に第2項に防衛秘密と自衛軍に関する法律(自衛軍隊員と自衛軍に対する犯罪を処罰する法律(旧軍や外国でいう軍法に相当)などを想定)が定める裁判を専属して行う下級裁判所として、防衛裁判所の設置を追加。下級裁判所の一部として終審裁判権を最高裁に属させることによって、防衛裁判所の独立暴走性や優位性、暗黒裁判性の排除を図る。また防衛裁判に関わる裁判官、検察官、弁護人その他の職員等を専属のものに限定して防衛秘密などの保護を図る。弁護人は専属国選弁護人か自衛官の職種に弁護官を新たに設けて対応するのが望ましい。

余談として、防衛省及び自衛軍の関係する犯罪・事件、防衛秘密に関係する犯罪・事件、自衛官の犯罪・事件に対する捜査権を完全に独立させ、自衛軍警務隊にのみ付与することが考えられる。これによれば、自衛官が隊外において現行犯を犯した場合、警察官に逮捕されるが事件に対する聴取や捜査はできず、通報を受けた自衛軍警務隊が身柄を引き受け聴取・捜査を行うことになる。これによって、防衛秘密に関する事件での秘密保護や警務隊の捜査能力維持と活動の確保、自衛官の身分保障が成り立つと思う。


第97条〔最高裁判所の規則制定権〕
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従がわなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所及び防衛裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所及び防衛裁判所に委任することが出来る。

新に前条で追加された防衛裁判所について、下級裁判所の一部ではあるが、その性質から下級裁判所及び防衛裁判所として規定。

第98条〔裁判官の身分の保障〕
裁判官は、裁判により、心身の故障の為に職務を執ることが出来ないと決定された場合を除いては、公の弾劾に拠らなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行なうことは出来ない。

第99条〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行なわれる衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙のいずれかの際、国民の審査に付し、その後三年を経過した後初めて行われる参議院議員通常選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達したときに退官する。
6 最高裁判所の裁判官は、全て定期的に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することが出来ない。

現行憲法では任命後初めて行われる衆院総選挙とその後十年経過して初めて行われる衆院選に際して、後同様に行うとされている最高裁判事の国民審査を任命後初めての衆院総選挙又は参院改選のいずれかとその後初めての参院改選に際して、後同様に行うように変更、これによって任命から初審査までの期間、次の審査とその後の定期審査が参院改選の3年ごととなって、審査までの期間が短縮され、国民審査の意義が向上される。

第100条〔下級裁判所及び防衛裁判所の裁判官〕
下級裁判所及び防衛裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名したものの名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることが出来る。ただし、法律の定める年齢に達したときに退官する。
2 下級裁判所及び防衛裁判所の裁判官は、全て定期的に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することが出来ない。

新に追加された防衛裁判所について、下級裁判所の一部ではあるが、その性質から下級裁判所及び防衛裁判所として規定。防衛裁判所の裁判官に特別な資格や試験はなく、通常の下級裁判所の裁判官と相違はなく、同一の司法試験合格者が防衛裁判所専属の裁判官に任命される。

第101条〔防衛秘密に関る裁判の守秘義務〕
法律の定める防衛裁判所の行なう、防衛秘密に関わる裁判及び終審として最高裁判所で行なわれる防衛秘密に関わる裁判に関係した、裁判官、検察官、弁護人その他の職員等は、その職務上知り得た防衛秘密を、在職中及び退職後を問わず、一般に公開してはならない。

防衛秘密に関わる裁判に関係した裁判官、検察官、弁護人その他の職員等の守秘義務を規定。

第102条〔最高裁判所の違憲立法審査権〕
最高裁判所は、一切の条約、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

第103条〔対審及び判決の公開〕
裁判の対審および判決は、公開法廷でこれを行なう。ただし、法律の定める防衛秘密に関わる裁判は、国の安全と公共の秩序の維持の為に必要と認められる場合に限り、法律の定める手続きにより、一部または全ての対審及び一部の判決を非公開とすることができる。

防衛秘密に関わる裁判の対審及び防衛機密の内容が含まれる一部の判決(判決に至った内容など)の一部又は全部を非公開にできる規定を設ける。


第8章 財政

第104条〔財政処理〕
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、健全にこれを行使する。

第105条〔課税〕
新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

第106条〔国費支出及び債務負担〕
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。

第107条〔予算の作成〕
内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

第108条〔予備費〕
予見し難い予算の不足に当てる為、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することが出来る。

第109条〔皇室財産及び皇室費用〕
全て皇室財産は、国に属する。全て皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

第110条〔公の財産の用途制限〕
公金その他公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持の為、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又その利用に供してはならない。
2 前項に関わらず、第33条第2項に定める、国民の教育を受ける権利を保障する為に行う、必要な経済的補助であると、認定される、公の支配に属しない教育の事業に対しての、公金その他公の財産の支出は、これを制限するものではない。これらの認定及び支出に関しては、法律でこれを定める。

第33条第2項に追加の国民の教育を受ける権利を保障する目的で、教育を受ける為に必要な経済的補助を保障することに関して、公金による奨学金や無償学費援助、私学助成を可能とする条項を明文化。

第111条〔会計検査〕
国の収入支出の決算は、全て毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告と共に、これを国会に提出しなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

第112条〔財政状況の報告〕
内閣は、国会及び国民に対し、定期的に、少なくとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。


第9章 地方自治

第113条〔地方自治の本旨の確保〕
地方自治体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

第114条〔地方自治体の議会と長、議員などの選挙〕
地方自治体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方自治体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の公務員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙する。

第115条〔地方自治体の権能〕
地方自治体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第116条〔特定の地方自治体にのみ適用される特別法〕
特定の地方自治体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方自治体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することが出来ない。

第113~116条において、現行第92~95条では「地方公共団体」とされていたところを「地方自治体」に変更。これは「地方公共団体」が詳しくは「地方自治体」と「特別地方公共団体」の総称を差すものであるため、この章で述べているのに相応しい、「地方自治体」に変更し統一した。


第10章 最高法規

第117条〔憲法の最高性と条約の国際遵守〕
この憲法は、日本国唯一の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。


第11章 補則

第118条〔施行期日と施行前の準備〕
この憲法は、公布の日から起算して六ヶ月を経過した日から、これを施行する。

第119条〔前憲法の失効〕
前の憲法は、この憲法が施行された日から、その効力を失う。

第120条〔国旗、国歌の制定〕
日本国の国旗を日章旗、日本国の国歌を君が代とする。

補則として、国旗、国歌についての制定を明記。


第12章 改正

第121条〔憲法改正の発議、国民投票、公布〕
この憲法の改正は、各議院の総議員の7分の4以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。
2 前項の承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行なわれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
3 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

憲法改正の発議について、現行では各議院の総議員の3分の2以上(現定員で衆院480名中320名、参院252名中168名)での発議となっているものを総議員の7分の4以上(現定員で衆院480名中275名、参院252名中144名)に変更。これにより憲法の改正を容易にする。一般には過半数とする案や意見が多いが、日本公進党は憲法改正の濫用、乱発を防止する観点から、中途半端な数値ではあるが、過半数よりやや多くなる7分の4という数字を提示した。