1999

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草案<一部>

小沢一郎

OZAWA Ichirō

「日本国憲法正試案」1
1999年9月2

〔自衛権〕
一 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
二 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
三 前二項の規定は、第三国の武力攻撃に対する日本国の自衛権の行使とそのための戦力の保持を妨げるものではない。

〔国際平和〕
日本国民は、平和に対する脅威、破壊及び侵略行為から、国際の平和と安全の維持、回復のため国際社会の平和活動に率先して参加し、兵力の提供をふくむあらゆる手段を通じ、世界平和のため積極的に貢献しなければならない。

 

〔公共福祉〕
この憲法の保障する基本的人権はすべて公共の福祉及び公共の秩序に遵う。公共の福祉及び秩序に関する事項については法律でこれを定める。

〔幸福追求権〕
この憲法が保障する生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならない。

〔国会〕   
衆議院は、全国民を代表する選挙された議員で組織する。定数及び選挙に関する事項は法律でこれを定める。

 参議院議員は衆議院の指名により天皇が任命する。その任期は終身とする。
(注)天皇の国事行為に参議院議員の任命を加える。3

衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で再び可決したときには法律となる。

〔内閣〕
内閣総理大臣は、衆議院議員の中から衆議院の議決で、これを指名する。

〔緊急事態〕
内閣は、国又は国民生活に重大な影響を及ぼす恐れのある緊急事態発生した場合は、緊急事態の宣言を発令する。緊急事態に関する事項は法律で定める。

〔司法〕
すべて司法権は、憲法裁判所、最高裁判所及び法律の定めるところにより下級裁判所に属する。

憲法裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。

〔財政〕
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。4

〔改正〕
一 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
二 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。