草案を比べる(日本国憲法)

日本国憲法

前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第1章 天皇

第1条〔天皇の地位と主権在民〕

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

第2条〔皇位の世襲〕

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

第3条〔内閣の助言と承認及び責任〕

天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第4条〔天皇の権能と権能行使の委任〕

天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第5条〔摂政〕

皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

第6条〔天皇の任命行為〕

天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第7条〔天皇の国事行為〕

天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。

第8条〔財産授受の制限〕

皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第2章 戦争放棄

第9条〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第3章 国民の権利及び義務

第10条〔国民たる要件〕

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第11条〔基本的人権〕

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第12条〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条〔個人の尊重と公共の福祉〕

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第14条〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第15条〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第16条〔請願権〕

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

第17条〔公務員の不法行為による損害の賠償〕

何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第18条〔奴隷的拘束及び苦役の禁止〕

何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第19条〔思想及び良心の自由〕

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第20条〔信教の自由〕

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第21条〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第22条〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第23条〔学問の自由〕

学問の自由は、これを保障する。

第24条〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第25条〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第26条〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第27条〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕

すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。

第28条〔勤労者の団結権及び団体行動権〕

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

第29条〔財産権〕

財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

第30条〔納税の義務〕

国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

第31条〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第32条〔裁判を受ける権利〕

何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

第33条〔逮捕の制約〕

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第34条〔抑留及び拘禁の制約〕

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

第35条〔侵入、捜索及び押収の制約〕

何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

第36条〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕

公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

第37条〔刑事被告人の権利〕

すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

第38条〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕

何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

第39条〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕

何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

第40条〔刑事補償〕

何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

第4章 国会

第41条〔国会の地位〕

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第42条〔二院制〕

国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第43条〔両議院の組織〕

両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第44条〔議員及び選挙人の資格〕

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

第45条〔衆議院議員の任期〕

衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

第46条〔参議院議員の任期〕

参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

第47条〔議員の選挙〕

選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第48条〔両議院議員相互兼職の禁止〕

何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第49条〔議員の歳費〕

両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第50条〔議員の不逮捕特権〕

両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第51条〔議員の発言表決の無答責〕

両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

第52条〔常会〕

国会の常会は、毎年一回これを召集する。

第53条〔臨時会〕

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

第54条〔総選挙、特別会及び緊急集会〕

衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

第55条〔資格争訟〕

両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第56条〔議事の定足数と過半数議決〕

両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第57条〔会議の公開と会議録〕

両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第58条〔役員の選任及び議院の自律権〕

両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第59条〔法律の成立〕

法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第60条〔衆議院の予算先議権及び予算の議決〕

予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第61条〔条約締結の承認〕

条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第62条〔議院の国政調査権〕

両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

第63条〔国務大臣の出席〕

内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

第64条〔弾劾裁判所〕

国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第5章 内閣

第65条〔行政権の帰属〕

行政権は、内閣に属する。

第66条〔内閣の組織と責任〕

内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

第67条〔内閣総理大臣の指名〕

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第68条〔国務大臣の任免〕

内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

第69条〔不信任決議と解散又は総辞職〕

内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

第70条〔内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による総辞職〕

内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

第71条〔総辞職後の職務続行〕

前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

第72条〔内閣総理大臣の職務権限〕

内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

第73条〔内閣の職務権限〕

内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

第74条〔法律及び政令への署名と連署〕

法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

第75条〔国務大臣訴追の制約〕

国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第6章 司法

第76条〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕

すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第77条〔最高裁判所の規則制定権〕

最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

第78条〔裁判官の身分の保障〕

裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。

第79条〔最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査〕

最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。
5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第80条〔下級裁判所の裁判官〕

下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

第81条〔最高裁判所の法令審査権〕

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

第82条〔対審及び判決の公開〕

裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

第7章 財政

第83条〔財政処理の要件〕

国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。

第84条〔課税の要件〕

あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

第85条〔国費支出及び債務負担の要件〕

国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

第86条〔予算の作成〕

内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

第87条〔予備費〕

予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。

第88条〔皇室財産及び皇室費用〕

すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

第89条〔公の財産の用途制限〕

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

第90条〔会計検査〕

国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

第91条〔財政状況の報告〕

内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。

第8章 地方自治

第92条〔地方自治の本旨の確保〕

地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

第93条〔地方公共団体の機関〕

地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

第94条〔地方公共団体の権能〕

地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

第95条〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第9章 改正

第96条〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第10章 最高法規

第97条〔基本的人権の由来特質〕

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第98条〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕

この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

第99条〔憲法尊重擁護の義務〕

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第11章 補則

第100条〔施行期日と施行前の準備行為〕

この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日〔昭二二・五・三〕から、これを施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

第101条〔参議院成立前の国会〕

この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。

第102条〔参議院議員の任期の経過的特例〕

この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。

第103条〔公務員の地位に関する経過規定〕

この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

国体創造

国体創造

「平成新憲法私案」1
2002年


前文

神武天皇が即位された建国の日以来、我が国は様々な社会体制に変わってきた。その中で憲法という国家規範をかんがみる時、我々はひときわ優れた以下二つの国家規範を知っている。

十七条憲法
聖徳太子が定められた、国に報じる者が守るべき規範を最も明瞭に示したもの。以下に現代の風物にあてはめた略文を記す。
一 和することが貴い。上下のいさかいを無くせばできないことはない。
二 あつく仏教を信じよ。
三 天と地はおのずと異なる。天皇を尊び勅命に従え。
四 礼儀正しくせよ。
五 国民の豊か貧しいに関わらず公正に裁け。
六 へつらい媚びる者に耳を貸さず、悪行を正し善行を勧めよ。
七 才能ある者をしかるべき地位につけよ。
八 朝早くまた夜遅くまで勤勉に働け。
九 誠実に仕事をせよ。
十 考えの異なる者を愚か者と決めつけ怒ったり自分を賢者と決めつけたりするな。まず自分を省みよ。
十一 賞罰を厳正に行え。
十二 勝手に領民に税を課すなど公財産を横領してはならない。
十三 自らの仕事の内容を深く正しくわきまえよ。
十四 むやみに他人を妬むな。
十五 私心を捨て公のために仕事をせよ。
十六 民役を課す場合は、民衆の都合を考えよ。
十七 大切な事柄は多数でよく話し合って決めよ。そうでない事柄は小人数で即断せよ。

五箇条の御誓文
明治天皇が誓われた、近代国家のあり方を最も明瞭に示したもの。
一 廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ
一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フベシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ゲ人心ヲシテ倦ザラシメン事ヲ要ス
一 舊来の陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クベシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スベシ
我々の祖先は、以上のような英知に満ちた国のあり方を示した。我々は改めてこれらの意志を受け継がねばならない。その上で外国の占領と蹂躙と干渉を廃し祖国の独立を守ることのできる新しい時代の盤石な国造り行わねばならない。
以下にわが国の政体を構成する要素とそれぞれの役割を定めた政体運営の手順を記し、わが国の憲法とする。

◇筆者コメント:
解説:
新しく憲法など作るまでもなく、実は我々の先人は明瞭にして完璧な国家規範を既に作り上げている。上記二つの。
とはいえ「仏教を信じよ」など、必ずしも現代情勢と画致しない部分もある。これは、五箇条の御誓文にある「智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スベシ 」と同じ意味だと解釈できるだろう。仏教は聖徳太子の時代における最先端の外来思想(建築技術などを含んだ)だからだ。
我々の国の成り立ちを憲法で記述するべきだ。中でも、憲法前文に憲法の歴史を記述するのがいいと思う。
我々の国は、何千年にもさかのぼる祖先の英知と努力によって成り立っている。突如として湧いてきたわけではない。憲法という国家規範を規定するにあたって、祖先の英知を丸ごと切り捨てるような思い上がりがあってはならない。
前文において明瞭に祖先の英知を受け継ぐことを宣言し、祖先への敬意をまずは確認する。その後に、未来に向けた新しい国体の提起を行うという形をとるべきだ。
いずれにせよ、上記二つは国に報じる者が守るべき規範としては、考えうるかぎり究極のものだ。政治家や役人がどうあるべきかは、結局十七条憲法に完璧に記されている。近代国家のありかたは、五箇条の御誓文に簡潔に記されている。あまりに明瞭に。
筆者は説教を憲法から除外せよと主張している。それは、十七条憲法という既に完全な説教文が存在するからだ。更にここにダサいヘーワとかジンケンなどのいかがわしい説教の追加など不要だ。我々がなしうることは、せいぜい現代に見合った国家体制の定義を行うことだ。
以下に記述しているのは結局それだ。


第1章 天皇

第1条〔天皇〕
天皇は日本を統べる君主にして最高の権威者である。

◇筆者コメント:
解説:
政治機構における天皇の位置づけを定義している。
天皇を最高権威者かつ立候補権選挙権すら持たれない非権力者とし、なおかつ国民を最高権力者と規定することで、権威(国の礎となる威光)と権力(国を実際に動かす者)の完全な分離を実現している。これにより独裁者(権威と権力双方を掌握した者)の台頭を完全に阻止する。
「統べる」という語彙は、かつて天皇をスメラミコトとお呼びしたことに起因する。
現憲法では何と国家元首の規定が存在しない。国体を定義する文章である憲法として、話にならないシロモノだ。本私案では、天皇を君主と規定し国家元首であることを明瞭に記した。


2条〔皇位〕
天皇は建国の古より未来永劫続く三種の神器を証とした万世一系の地位である。日嗣の御子は一親等男子である。以降は親等順となる。

◇筆者コメント:
解説:
皇位を継がれる条件を定義している。
世襲であるため、いかなる権力者も天皇になることはできない。よって独裁体制は抑止される。
「未来永劫」の語彙については異論のある人もあろう。「法にせよ憲法にせよ施行されている期間内において有効なものだ。未来永劫なる語句の入る余地はない。」という論法で。説得力のある言い草だ。本来正論である。当然、現憲法にある「戦争を永久に放棄する」などという語句も、そもそも法のありかたとして話にならないものだ。
しかし憲法では伝統的な国体の概念を反映させるべきである。日本における悠久の国体はまずおいて天皇である。天皇に限り「未来永劫」という語句を用いた。


第3条〔摂政〕
天皇が公務を行いえぬとき、日嗣の御子が摂政となりこれにあたる。

第4〔公務〕
天皇は以下の公務を行う。二、三、七においては国会が責任を負う。二、五においては裁判院が責任を負う。六においては藩民が責任を負う。その他全ての公務の責任は内閣が負う。公務により生じたいかなる結果にも、天皇は責任を負わない。
一 大嘗祭、新嘗祭など皇室において伝統的な儀式を行う。
二 国会や裁判院を招集し開会を宣言する。
三 国会が指名した内閣総理大臣を任命する。
四 内閣総理大臣が指名した閣僚を任命する。
五 裁判院が指名した最高裁判所長官を任命する。
六 藩民が選んだ藩主を任官する。
七 国会が可決した憲法、法律、制令、条約、藩割りを公布する。
八 改元を行う。
九 叙勲、報奨、大赦を行う。
十 儀礼上の外交や式典への出席を行う。

◇筆者コメント:
解説:
天皇が行われるご公務を定義している。


第5条〔天皇の禁則〕
天皇は以下の行為を行なわない。
一 立候補や投票。
二 議員、もしくは内閣総理大臣、閣僚、藩主、最高裁判所長官となる。
三 官僚となる。
四 特定政党や特定政治家や特定政治思想の支持不支持を表明する。
五 納税や兵役や民役。
六 立太子の礼を終えた皇太子がいない状況での退位。

◇筆者コメント:
解説:
天皇が行われるべきでない行為を定義している。天皇はあらゆる権力、つまり世俗から完全に乖離なさる。


第2章 国民

第6条〔国民〕
国民は、日本の構成員にして最高の権力者である。

◇筆者コメント:
解説:
政治機構における国民の位置づけを定義している。


第7条〔国籍取得〕
国民の嫡子は国民となる。また父母のいずれかが国民であった場合、他国籍を獲得しない嫡子は国民となることができる。
2 また以下の要件を満たす外国人は帰化することができる。
一 祖国日本への忠誠を宣誓すること。
二 内閣及び居住する藩双方の承認を得ること。
三 兵役または民役を終えること。
四 基礎的な国語の会話ができること。
五 保証人となる国民がいること。国民との婚姻の場合は配偶者である国民が保証人となること。帰化後十年間は、法的責任を保証人も負う。
六 帰化から十年以前にさかのぼり法的処罰を受けていないこと。
3 なお帰化後十年以内においては、複数世帯の近隣住民、または百分の一以上の藩民から帰化却下申請を受けた場合は、帰化が取り消される。

◇筆者コメント:
解説:
国民となる条件を定義している。


第8条〔国籍離脱〕
国民は国籍を離脱することができる。国籍を離脱した者は、再び国民となることはできない。

◇筆者コメント:
解説:
 国民をやめる条件を定義している。


第9条〔国民が行うこと〕
国民は以下の行為を行う。
一 国会議員選挙、裁判院議員選挙に立候補もしくは投票を行う。もしくは棄権する。
二 藩議会選挙に立候補もしくは投票を行う。もしくは棄権する。
三 藩主選挙に立候補もしくは投票を行う。もしくは棄権する。
四 国会が提起した憲法改正案に投票を行う。もしくは棄権する。
五 納税を行う。
六 内閣が科す兵役や、藩が科す民役に従事する。
七 国会や藩議会の定めた法や条令を守る。

◇筆者コメント:
解説:
国民が政治機構との関わりにおいて行う行為を定義している。
投票への棄権も行うことに加えた。政治に興味を持たない自由もまた、極めて重要な政治的自由の一つだからだ。旧ソ連のように、投票を強要される社会体制であってはならない。


第10条〔国民の禁則〕 
国民は以下の行為を行ってはならない。
一 天皇を騙る。
二 天皇に政治的な事柄への見解を述べるように強要する。
三 選挙によらず藩主や内閣総理大臣や議員を騙る。
四 外患誘致、国家転覆の謀略。
五 外圧の誘致による政府への干渉。
六 暴力や暴動など、選挙や立候補や国民投票にもとずくことのない政府への干渉。
七 脱税。
八 賭博、売春斡旋。
九 その他法や条令を破る行為。
十 経営や売買など公的な活動における、出身や性別や人種や宗教を理由とした差別。ただし能力による区別はこれにあたらない。
十一 他の国民への政治的発言、あるいは沈黙の強制。
十二 奴隷の所持。

◇筆者コメント:
解説:
外患誘致など、国の存続に関わる内容を明記した。
賭場や売春斡旋を国民に禁止し、内閣や藩など行政の寡占事業とした。暴利をむさぼる事業であり民間に適さない事業だからだ。公正な賭博、衛生管理のされた売春を行政が行い、公的な収入源とする。
現憲法下で、天皇はさんざん政治的に利用されている。主に政府外務省と新聞記者により。政府外務省は、天皇にさんざん土下座外交を強要し、「謝罪」のお言葉を強要し続けている。記者もまた、記者会見において天皇に政治的発言を幾度と無く強要している。
「二」により天皇への政治的発言の強要を抑止し、これを完全にやめさせる必要がある。


第3章 国土

第11条〔国土〕
我が国の国土は歯舞、色丹から竹島、小笠原、沖縄に至る地域である。詳細は国土規定書に記述する。

◇筆者コメント:
解説:
日本国国土を定義している。これを定義しない憲法もしくは憲法案の多いことに筆者は驚愕する。国土という生存域無しに国も国民も、ましてやご立派な理念とやらも成り立たない。


第12条〔国土の管理〕
国土は内閣により保証され、内閣及び藩により保守管理される。

◇筆者コメント:
解説:
国土の管理者を内閣及び藩に定めることにより、地主の既得権を制限する。これにより借家人借地人の利便を図り、各種の公共的な土地利用を促進可能にする。
また、国土の保証とは国防のことである。国土の保証者を明瞭に内閣と定め、北方領土に見られるような従来の政府による領土管理の怠慢を抑止する。


第4章 国旗国歌年号

第13条〔国旗〕
日の丸を国旗とする。詳細は国旗規定書に記述する。

◇筆者コメント:
解説:
国旗を定義している。くだらない政策内容の定義などより、こういう国の基本構成要素こそ憲法で定義するべきだ。


第14条〔国歌〕
君が代を国歌とする。詳細は国歌規定書に記述する。

第15条〔年号〕
元号を年号とする。改元は皇位の継承により行わる。


第5章 政府

第16条〔政府〕
政府は日本を護持し国家主権を守り国民の利益を公的に実現するための集まりである。天皇の権威と、国民の権力に委託される。政府はその役割により、国会、内閣、裁判院、藩、藩議会に分類される。

第17条〔政府の禁則〕
国会、内閣、裁判院、藩、藩議会などあらゆる政府機関は、以下の行為を行ってはならない。また国会、議会は、以下の行為を認める法や条例を可決してはならない。
一 国民による立候補や投票を妨害したり強要したりすること。
二 国民による投票の内容を開票前に政府が覗き見ること。あるいは実質的に知りうる処置をこうじること。
三 議員や所轄する官僚でない国民による政治的な発言や表明を、制限したり妨害すること。
四 国民による文化活動や経済活動を妨害すること。
五 国民の政治権力すなわち、それぞれの機関が国民から付託された立法権、行政権、司法権を外国やテロリストに譲渡すること。例えばそれらの行使にあたって外国政府やテロリストの干渉を受け入れること。
六 特定国民のみの利便をはかること。たとえば記者会見のように特定国民のみに公的な情報を開示する行為。
七 特定国民のみに偏った政治権力を与えること。たとえば弁護士団体や官僚に最終的な人事権を譲ること。

◇筆者コメント:
解説:
「特定国民のみの利便をはかること」に記者会見を明言した。国民の間で政治的な不平等があってはならず、その政治的不平等の典型例だからだ。
現在、記者には以下の政治的特権が認められている。
@ 政治家の話した情報を真っ先に聞き、(時に歪曲デフォルメした)編集をして国民に流布する権力
@ 政治家に質問する権力
全て政治家による記者会見という慣行による。
言うまでもないことだが「特定の職業であることを理由に、政治的な特権が認められる社会体制。」など間違っている。いうなればそれは貴族制である。今現在、報道媒体という貴族に政治的特権が認められている社会体制なのだ。一票たりとも票を得ていない存在であるにもかかわらず。
政治家は、どうしても「記者会見」を行うのであるなら、「百姓会見」、「事務員会見」、「大工会見」、「工員会見」、「商店主会見」、「金貸し会見」、「ヤクザ会見」も行うべきだ。政治的な権力において職業による差別があってはならないからだ。
政治家が本来、国民に話し訴えるべき場所は議会である。テレビのある現代では記者会見はもう不要である。政治家はテレビ中継された議会や委員会で国民に訴えるべきだ。もしくは、テレビ放送枠を設けて直接国民に訴えるべきだ。安物のニュースキャスターの権力の及ばない場において。
もっと具体的に言うなら、内閣総理大臣や地方行政の長が議員会見及び国民会見を毎週程度行うことを提言する。予算審議中にかぎらず毎週議員会見を行い議員からの質疑応答に答えるようにするのだ。かつ、その有り様をテレビもしくはネットで公開する。マスメディアはそれを記事にすればいい。
政治家の国民会見はネットで行う仕組にすればいい。質疑内容をネット投票し、その質疑そのものに国民に投票させ、賛同の多い質疑に政治家は答えるのだ。こうすれば、国民が直接大臣や議員や官僚に訊ねることができる。
「特定国民のみに偏った政治権力を与えること」に、弁護士団体を明記した。
現在、最高裁判所判事の何人かは、日弁連の推薦なしに任命できない政治構造が出来上がっている。何一つ選挙によらない単なる職業団体に、司法権の最高権力の一部が与えられているのだ。極めて非民主的な、ある種の貴族制である。日弁連の貴族的な政治権力を剥奪し、我々国民に取り戻す必要がある。


第6章 国法の立法

第18条〔国会〕
国会は、国民の国法立法権を代行する組織である。

第19条〔国会成立の条件〕
国会は、国民による選挙により選ばれた国会議員により構成される。天皇の招集により国会は成立する。ただし外国により干渉された下での憲法法律条約の制定など国会活動の全ては無効である。
2 国会議員は一藩に一人である。

◇筆者コメント:
解説:
国会が国会として認められる条件を定義している。衆議院参議院の二院制度は廃止する。無駄だからだ。現在の参議院の議場は、司法の国会とでもいうべき裁判院の議場とする。裁判院が違憲立法などの審査を行う。
また、議員の無用な増加を抑止するため一藩に一人の完全小選挙区とした。


第20条〔国会が行う事〕
国会は、以下の行為を行う。ただし裁判院が違憲と認めた立法など国会活動は無効である。
一 法律、制令、条約を可決承認し天皇に報告する。
二 内閣総理大臣を指名または解任し天皇に報告する。
三 藩割りを作成し天皇に報告する。
四 議長など議会の運営に必要な人員を任命する。
五 内閣が提出する予算案を承認する。
六 議決内容を開示する。
七 憲法改正案を国民に提起する。国民投票の結果、改正案が現行案を上回った場合、憲法の改正内容を天皇に報告する。

第21条〔議会の禁則〕
国会、裁判院、藩議会などあらゆる議会は、以下の行為を行ってはならない。
一 議事や議決を国民に隠蔽する。
二 議会を国民の見聞きできない場所で行う。
三 行政権や司法権を侵害する。
四 人身売買を認める法や条令の可決。
五 野党を禁止する法や条令の可決。
六 国内の外国人に治外法権を認める条約や法や条例の可決。
七 可決から三十日以下で発布を行う。

◇筆者コメント:
解説:
裁判院に違憲審査をする機会をあたえるため、法律、制令、条約の可決から発布までが三十日以上必要であることにした。


第22条〔国会の禁則〕
国会は、以下の行為を行ってはならない。
一 郷土の文化的背景を無視した藩割りの作成。

第23条〔議員の禁則〕
国会、裁判院、藩議会などあらゆる議員は、以下の行為を行ってはならない。
一 議事進行の妨害。
二 収賄。

第24条〔国会議員の禁則〕
国会議員は、以下の行為を行ってはならない。
一 裁判院議員との兼任。
二 藩議会議員との兼任。
三 藩主との兼任。

◇筆者コメント:
解説:
三権分立の建前により兼任を不可能にした。


第7章 国政の行政

第25条〔内閣〕
内閣は立法司法を除くあらゆる国政を行う。全権は内閣総理大臣にある。内閣総理大臣は、閣僚や国家公務員を任命し国政の一部を代行させる。

◇筆者コメント:
解説:
政治機構における内閣の位置づけを定義している。人事権を与え、現行ありがちな政治家を軽んじた官僚の独断や暴走を抑止する。これにより、官僚ではなく民衆の代表者が政治を行う社会体制、つまり民主制をより強固に確立する。


第26条〔内閣総理大臣となる条件〕
案1:議院内閣制
内閣総理大臣は、国会の指名により選ばれる。天皇の任命をえて任官する。最大任期は十年とする。
案2:首相公選制
内閣総理大臣は以下の手順で選ばれる。任期は五年であり、最大在職期間は十年とする。
一 現職内閣総理大臣に対する国民からの否認投票数が現職総理大臣が得た得票数を上回った場合、もしくは任期満了まで残り一ヶ月となった場合、天皇は国会に内閣総理大臣の公募を行う。
二 二期以上の国会議員経験のある国会議員が、二割以上の国会議員による推挙を受けて立候補する。
三 天皇が内閣総理大臣選挙を国民に対して公示する。
四 国民が投票を行う。
五 国民から最大の得票を得た国会議員を、天皇が内閣総理大臣に任官する。

◇筆者コメント:
解説:
独裁体制抑止のため任期をもうけた。
今ひとつ賛成できないが、昨今流行であるので首相公選制の案も記した。


第27条〔内閣が行うこと〕
内閣は以下の行為を行う。
一 皇室の護持。
二 軍隊を組織し、外国の侵略やテロや災害から国民の生命財産及び国土を守る。また外国軍の駐留を防ぎ国家主権を保持する。
三 治安の維持を行う。
四 外交を行う。
五 予算案や法案を作成し国会に提出する。
六 少数の藩では行うことのできない大規模なもしくは広域的な社会基盤整備を行う。
七 国民が行う国益となる文化活動の保守繁栄や、大規模な経済活動を補佐する。
八 国民へ民族文化の教育を行う。
九 貨幣を発行する。
十 藩の組織構造や藩政の内容や国民の行為が、憲法や法令に違反しないかどうか査察し裁判所に訴える。
十一 藩割りを作成し国会に提出する。
十二 業務の委託先、委託内容、委託金額など政策の開示を行う。
十三 藩間格差補正のため、藩からの補正金の徴収及び分配を行う。
十四 裁判所が下した刑罰など行政執行を行う。

◇筆者コメント:
解説:
福利厚生などは基本的には藩が行う。国防や大規模な社会基盤整備など、どうしても中央政府でなければできない内容や、中央政府が行ったほうが良いと思える内容のみを記述した。
藩間の格差を無くす為の補正金を徴収し、分配するようにした。格差補正金であることを明瞭にし、乞食藩には他藩の重荷となっている事を身にしみて理解させる。これにより自助努力を期待する。


第28条、行政の禁則
内閣、藩など行政は以下の行為を行ってはならない。
一 議会会期中の国会議員を、国会の承認なしに拘束すること。
二 議会会期中の藩議会議員を、藩議会の承認なしに拘束すること。
三 国防や治安維持に関わりのない業務の委託先、委託内容、委託金額を隠蔽すること。
四 国民の個人情報を、本人以外に開示すること。業務委託先は個人ではない。
五 国土や国民を、外国に譲渡したり売却すること。
六 藩の税収を上回る補正金の分配。
七 有事の場合以外に自国軍の百分の一以上の規模の外国軍を駐屯させること。有事において自国軍以上の規模の外国軍を駐屯させること。
八 予算の百分の一を超える金額の国民資産を外国に譲渡すること。近隣核武装国家に国民資産を譲渡すること。
九 利息額が予算の百分の一を超える金額の国債を発行すること。
十 法的根拠のない課税。
十一 議会の承認のない予算運用。
十二 日本国民でない者に永住権を与えること。

◇筆者コメント:
解説:
藩の税収を上回る補正金の分配を受けられないようにした。つまり、予算は最大で税収の倍額までとなる。赤字藩の自助努力をうながすためである。
また、官僚の人事権も内閣総理大臣にあたえた。これにより官僚の政策妨害や暴走を防ぐ。
「予算の百分の一を超える金額の国民資産を外国に譲渡すること。」とは要するにODAのことである。
外務大臣や外務官僚にしてみれば朝貢土下座外交が最も楽な選択だ。本来外交とは外国との国益をかけた丁丁発止だ。しかしあらかじめ国益を投げ出し土下座し国民の資産を外国に垂れ流せば、外交をやる必要がなくなる。馬鹿正直に国益をかけて汗水たらして外国政府とやりあうより、外国のパシリになり公費を横領して暮らすほうが役人にしてみれば楽だから国益放棄外交を行っているのだ。もちろん外務大臣や外務官僚にとっては楽でも、国民にとっては最も負担のかかる最悪の選択に他ならないのだが。
この条文でこういう戦後の続いてきた売国土下座朝貢外交を抑止する。
「利息額が予算の百分の一を超える金額の国債を発行すること。」により現在のような赤字国債乱発を抑止する。
国民にせよ政府にせよ負担をこうむるのは嫌がるものだ。消費税を嫌がり税金を払い渋り桁外れの赤字国債を子孫に押し付けておきながら、「子供たちの未来のための政治を」などとぬけぬけと言う「市民」もいる。そういう馬鹿の票を失うことの怖さに自民党政府は国債を乱発し子孫に子孫にとツケを回してきた。増税をすれば反発がくる。そこで政治家は子供に目をつけた。相手が子供もしくは生まれていないことをいいことに、その懐に手を伸ばし六百兆円以上もの金をごっそりと毟り取ってきた。文句を言う能力の無い相手からかすめとるこの有様は、禁治産者寸前の老人を相手にした詐欺に似ている。
国債とは子孫からの借金なのだ。


第29条〔内閣総理大臣の禁則〕
内閣総理大臣は以下の行為を行ってはならない。
一 三親等以内の親族者を閣僚や政府委員に任命すること。

◇筆者コメント:
解説:
独裁国家にありがちな身内による親政を抑止する。


第8章 司法

第30条〔裁判院〕
裁判院は、国民の司法権を代行する組織である。
2 日本国国土内に存在する人間に対しては、国籍軍籍の有無を問わず全て日本の裁判院及び裁判所が司法権をもつ。

第31条〔裁判院成立の条件〕
裁判院は、国民による選挙により選ばれた裁判院議員により構成される。天皇の招集により裁判院は成立する。
2 裁判院議員は最大三十人である。

◇筆者コメント:
解説:
裁判院が裁判院として認められる条件を定義している。
議員の無用な増加を抑止するため、三十人と限定した。


第32条〔裁判院が行う事〕
裁判院は、以下の行為を行う。
一 最高裁判所長官の指名と解任、及び天皇への報告。
二 議長など議会の運営に必要な人員を任命する。
三 違憲立法審査。違憲条令審査。違憲判決審査。違憲行政審査。
四 特に裁判院が必要性を認めた場合、違法審査。
五 以上の審査結果の実行を議会、行政、裁判所に命じる。

◇筆者コメント:
解説:
ここでいう違憲判決審査とは、「違憲であることを認定する判決」ではなく、「裁判所の判決そのものが違憲かどうかを審査すること」である。
ちなみに違憲判決を下したと認定された判事は、国民意識から逸脱しているとみなし、下級審に格下げしたり別の職務に配置転換するといいだろう。これにより判事には、国民意識に準じた判決を下すようにさせる。


第33条〔最高裁判所〕
最高裁判所は司法を行う。全権は最高裁判所長官にある。最高裁判所長官は、下級判事を任命し司法権の一部を代行させる。

第34条〔最高裁判所長官となる条件〕
最高裁判所長官は、裁判院の指名により選ばれる。天皇の任命をえて任官する。最大任期は十年とする。

◇筆者コメント:
解説:
現行憲法では最高裁判所長官や下級判事は全て内閣総理大臣に任命される。これでは三権分立が明瞭ではない。国会に指名させる憲法案もあるが、同様である。
本案では、最高裁判所長官は、裁判院に任命され、下級判事は最高裁判所長官に任命されることとした。


第35条〔裁判所が行う事〕
裁判所は、以下の行為を行う。
一 違憲条令審査。違憲行政審査。
二 違法審査。
三 条例違反審査。
四 以上の審査結果の実行を行政や国民に命じる。

第36条〔司法の禁則〕
裁判院及び裁判所は以下の行為を行ってはならない。
一 上級審の判例に反する判決を、上級審判決後十年以内に下すこと。
二 刑事事件の審理に、二年以上の審理期間をおく。
三 刑事事件を除く全ての審理に、一年以上の審理期間をおく。
四 事件被害者や遺族の身元開示。
五 事件被害者による秘密裁判要求を無視する。
六 被害者もしくは遺族による秘密裁判要求を除いた審理や判決の隠蔽。
七 治外法権を認めること。

◇筆者コメント:
解説:
「上級審の判例に反する判決を、上級審判決後十年以内に下すこと」は、法的な不平等を抑止するために定めた。同様の事例で異なる量刑があっては不平等だ。
また長期裁判を避けるため審理期日を設けた。


第9章 藩

第37条〔藩、藩主〕
藩は、国会による藩割りにもとずく地方行政単位である。条令の可決を除くあらゆる藩政を行う。その全権は藩主にある。藩主は、藩官を任命し藩政の一部を代行させる。

◇筆者コメント:
解説:
政治機構における藩の位置づけを定義している。
いわいる都道府県を廃止した。無用だからだ。中央政府と藩(地方政府)のみとした。


第38条〔藩主となる条件〕
藩主は、藩民による選挙により選ばれる。天皇からの任官により藩主となる。

◇筆者コメント:
解説:
藩主となる条件を定義している。
天皇からの任官を必要にした。江戸時代の藩主が「(日本の地名)のかみ」という称号を天皇から賜り藩主となっていた伝統にもとづく(ただし称号となる地名と領地の場所は無関係だった。)これに関係性を持たせ、例えば難波藩藩主に「難波の守(なにわのかみ)」、世田谷藩藩主に「世田谷の守(せたがやのかみ)」という称号を与える。


第39条〔藩が行うこと〕
藩は以下の行為を行う。
一 予算案や法案を作成し藩議会に提出する。
二 福利厚生を行う。
三 社会基盤整備を行う。
四 藩民が行う伝統的な文化活動の保守繁栄を補佐する。
五 藩民が行う経済活動を補佐する。
六 藩民に郷土文化の教育を行う。
七 業務の委託先、委託内容、委託金額など政策の開示を行う。
八 藩民への飢餓や人権侵害を抑止する。
九 賭博、売春斡旋。公益事業。
十 内閣が行う国防危機管理に協力する。

第40条〔藩の禁則〕
藩は以下の行為を行ってはならない。
一 日本国からの独立。
二 反国家的反国民的な教育や煽動。
三 内閣の承認を得ずに他藩からの入藩を遮断すること。
四 内閣の承認を得ずに他藩の藩民の移籍を禁じること。
五 内閣の承認を得ずに殺傷武器を所持した軍隊や藩防衛組織を編成すること。
六 内閣や司法による査察を妨害すること。
七 藩の領地や藩民を他藩や外国に売買もしくは譲渡すること。
八 内閣による国防危機管理への協力を怠ること。


第10章 条例の立法

第41条〔藩議会〕
藩議会は、藩民の条令立法権を代行する組織である。

第42条〔藩議会成立の条件〕
藩議会は、藩民による選挙により選ばれた藩議会議員により構成される。

◇筆者コメント:
解説:
藩議会が藩議会として認められる条件を定義している。


第43条〔藩議会が行う事〕
藩議会は、以下の行為を行う。
一 条令を可決承認し発布する。
二 議長など議会の運営に必要な人員を任命する。
三 藩主が提出する予算案を承認する。
四 議決内容を開示する。


第11章 官僚

第44条〔官僚〕
官僚は、内閣総理大臣や最高裁判所長官や藩主など、国民の代表者の職務を代行する国民である。

第45条〔官僚の任官〕
官僚は、内閣総理大臣や最高裁判所長官や藩主など所轄最高責任者により任官、解任される。官僚は兵役もしくは民役を終えた国民であること。

◇筆者コメント:
解説:
驚くべきことに、現在内閣総理大臣に官僚の人事権がない。所轄大臣にある。内閣総理大臣には、大臣の任命権しかない。そのため官僚は、内閣総理大臣の直属機関を無視するなど総理大臣を舐めた行為を時折行う。また、組合教師などにもそういう体質の官僚は多い。
これは全て所轄最高責任者に人事権がないからだ。所轄最高責任者に命令違反官僚の解雇を可能にすればいいだけの話だ。
官僚には高い公共心が求められる。兵役や民役はそれを育むのに極めて有効である。
徴兵制をしく韓国では、兵役を終えたことが官僚になるための条件となっている。公共心ある者を官僚にする制度だ。合理的で優れた制度だと思う。
過酷な軍隊生活はやる気の無い人間をふるい落とし、血税を受け取るに足る人材を選別するだろう。また官僚としての誇りと愛国心と責任感を育むだろう。
ただ、そのため韓国では女子の官僚が少ない。女子にも官僚となる機会を与えるためにも、老人介護など民役をも官僚となりえる条件に加えた。


第46条〔官僚の禁則〕
官僚は以下の行為を行ってはならない。
一 天皇の権威を侵害すること。
二 国民の政治権力を侵害すること。すなわち内閣総理大臣や最高裁判所長官や藩主など、所轄する国民の代表者の命令を無視もしくは反すること。
三 職務中における政治活動、思想活動、宗教活動。
四 収賄を受けること。
五 公財産の横領。すなわち政府が所有する物資や不動産や金銭を着服すること、及び組合活動など勤務時間内での私的活動。
六 官僚として与えられた権力を、私的な目的のために行使すること。
七 業務の委託先やそれらから受注する機関に就業中または退職後に就職すること。
八 業務の委託先やそれらから受注する機関の経営者となったり、株式を所持したりする事。


第12章 政党

第47条〔政党〕
政党は共通の政治理念をもつ国民の集まりである。各種選挙に立候補者を擁立し、政治理念の実現を目指す。
2 以上の条件を満たし、かつ実際に議員や行政の長をもつ政治組織は、政党と名乗らなくとも本要件に該当する。

第48条〔政党の禁則〕
政党は以下の行為を行ってはならない。
一 党内の最高責任者や指導者を、党員による秘密選挙以外の方法で選出すること。
二 党員に、党中央やその政策や政治理念への批判を禁じること。
三 革命や暴動の扇動や外患誘致など選挙によらない政権奪取の企み。
四 党員に対する監禁や恫喝による洗脳。
五 武力組織を編成すること。

◇筆者コメント:
解説:
要するにこれは独裁政党を禁止する条文である。
憲法草案としてでこれを提起すると共産党あたりは必ず反対するだろう。それでいい。上記は民主国家の政党として極めて一般的な要件である。共産党がこれに反する独裁政党であることを満天下に知らせることができる。
いずれにせよ新しい憲法制定を行おうとすると、共産党は間違いなく反対する。新憲法草案でこの条文を入れておくことにより、「共産党は新憲法制定反対を騒いでいるが、その本音は独裁政党禁止の条文が気に入らないに過ぎない。」と喧伝することができる。


まとめ
本憲法私案の特徴を以下にまとめる。
@ 世界一般の憲法と比較した上での特徴
 ・政治機構における皇室の役割を定義している
 ・権力権威二分化制による独裁体制の抑止
@ 昭和憲法と比較した上での特徴
 ・国民の祖先に敬意をはらっている。
 ・政治機構の各構成員同士の責務関係を明瞭にしている。
 ・極力抽象表現を省き全文を具体化論理化している。
 ・説教や政策内容の定義を減らし、子孫の政策運営を自由にしている。
 ・国家元首を定義している。
 ・国土国旗国歌年号など国に必要な要素を定義している。
 ・参議院の廃止。
 ・違憲審査を行う裁判院の設置。それによる司法の完全独立。
 ・内閣に国防の責務を科している。
 ・都道府県制度を廃止し、中央政府と藩の二体制とする。
 ・地方分権。
 ・官僚の規範を定義し官僚の暴走を抑止する。